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《07》共有者の1人が相続人なくして死亡した場合、その共有持分は、特別縁故者に分与されるか、あるいは他の共有者に帰属するか。

平成元年1124日判決(判例時報133230) 重要度 ○

参照条文:民法958 条の3 255

 

―判例の要旨―

共有者の1人が相続人なくして死亡した場合、その共有持分は、他の相続財産とともに、まず、特別縁故者に対する分与の対象となり、分与されず残った共有持分は他の共有者に帰属する。

 

― 解 説 ―

1 相続人のいない人が死亡した場合の相続財産につき、民法には次の3つの規定があります。

(1)民法959

相続人がいない場合の相続財産は、「国庫に帰属する。」

(2)民法255

「共有者の1人が・・死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。」

(3)民法958 条の21

相続人がいない場合、家庭裁判所は、「被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者に、・・相続財産の全部又は一部を与えることができる。」

2 (1)と(2)の関係ですが、(1)は被相続人の単独所有の相続財産に、(2)は共有の相続財産の持分にそれぞれ適用されます。

3 (1)と(3)の関係は、民法959 条に「まず特別縁故者に分与し、残った相続財産は国庫に帰属する」と明記されていて問題はないのですが、(2)と(3)の関係は民法に何も規定されていないため、

「相続人不存在 ⇒ 共有者帰属」か、

「相続人不存在 ⇒ 特別縁故者に分与 ⇒ 共有持分が残れば共有者帰属」か、

につき、考え方が分かれていました。

4 本件判例は、(2)と(3)の関係も、(1)と(3)の関係と同様に、まず特別縁故者に分与し、共有持分が残れば共有者帰属と判断し、上記の問題に結着をつけたものです。

 

 

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