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《14》遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となる。

平成110611日判決(判例時報168254) 重要度 ○

参照条文:民法907   424 

 

―判例の要旨―

共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となりうる。

 

― 解 説 ―

1 民法424 条1項には、「債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。」と規定されていますが、例えば、借金を抱えた相続人Aが、父親の相続で、他の相続人に相続財産の全部又はそのほとんどを取得させ、相続人Aの取得分を0としたり又はほとんど0とする分割協議を成立させた場合(本件は、相続人Aの取得分を0とした事案です)、相続人Aの債権者Yが、当該遺産分割協議を取り消して、相続人Aに父親の財産を相続させることができるかという問題です(仮に相続人Aに相続させることができれば、債権者Yは差押等をすることが可能となります)。

2 最高裁は、遺産分割協議は、相続の開始によって一担共同相続人の共有となった相続財産につき、その全部又は一部を、各相続人の単独所有とし又は新たな共有関係を形成するもので、それは、民法424 条1項の「行為」に当たるとし、詐害行為取消権の行使を認めました。

3 ただ問題は、遺産分割協議は、常に法定相続分どおりに分割されるとは限らず、法定相続分を上回る相続人もいれば、法定相続分を下回る相続人も生じ得ることです。多少でも法定相続分を下回った場合は、全て詐害行為取消権の行使が認められるという訳ではありません。従って、どの程度法定相続分を下回った場合に取消権が認められるかは、今後の裁判例、判例の集積を待たざるを得ません。

 

 

 

 

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