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平成13年11月22日判決(判例時報1775・41) 重要度 ○
参照条文:旧民法1031条 423 条
―判例の要旨―
遺留分減殺請求権は、特段の事情がある場合を除き、債権者代位権の目的とすることはできない。
― 解 説 ―
1 民法423 条1項には、「債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。」と規定されています。
例えば、父親が、その相続人A、Bの2人のうち相続人Aにのみ、相続財産の全てを相続させるとした遺言を残した場合、相続人Bの債権者Yが、Bに代位して遺留分減殺請求権を行使できるかという問題です。
2 最高裁は、遺留分減殺請求権を、相続人の「一身に専属する権利」と解釈し、上記の但書のとおり、債権者代位権の目的とすることはできないと判断しました。
なお、「一身に専属する権利」には2種類あります。
1つは、上記民法423 条1項但書に規定されている一身専属権で、「それを行使するか否かが、権利者の意思のみにかかっている権利」です(「行使上の一身専属権」といわれています)。
他は、次の民法896 条の但書に規定されている一身専属権で、「相続、譲渡の対象とならない権利」です(例えば民法881 条の扶養請求権で、「帰属上の一身専属権」といわれています)。
民法896 条
「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」