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昭和47年05月25日判決(判例時報680 ・40) 重要度 ○
参照条文:民法554 条 1022条
―判例の要旨―
死因贈与については、遺言の撤回に関する民法1022条が、撤回の方式に関する部分を除き準用される(従って、いつでも撤回することができる)。それは、贈与者の死後の財産に関する処分は、遺贈と同様、贈与者の最終の意思によって決するのを相当とするからである。
― 解 説 ―
1 死因贈与(民法554 条)とは、贈与者の死亡によって効力を生じる贈与で、「遺贈に関する規定に従う」と規定されています。
しかし、死因贈与と遺贈の決定的な違いは、死因贈与は契約であり、遺贈は単独行為である点で、そのため、遺言による贈与(遺贈)の撤回に関する民法1022条「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。」が死因贈与に準用されるか否かが問題となっていました。
なお、「遺言の方式に従って」とは、「自筆証書とか公正証書などの要件を満たした遺言によって」の意味です。
2 最高裁は、死因贈与につき、民法1022条が撤回の方式に関する部分を除いて準用されると判断しましたので、贈与者は、自己がした死因贈与契約を、遺言の要件を満たすことなく、いつでも自由に撤回することができることになります。
3 民法550 条本文には、「書面によらない贈与は、各当事者が解除することができる。」と規定されています。この反対解釈として、通常の贈与は書面による場合は解除できない訳ですが、死因贈与では、書面が作成されていても撤回可能となります。