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《11》遺産確認の訴えの裁判の形式

平成元年0328日判決(判例時報1313129 ) 重要度 ○

参照条文:民法898 条 民訴法40

 

―判例の要旨―

共同相続人間において、被相続人名義となっていない財産につき、それが相続財産であることの確認を求める訴え(「遺産確認の訴え」といわれています)は、共同相続人全員が当事者として裁判に関与し、その間で合一にのみ確定することを要する訴訟(「固有必要的共同訴訟」といわれています)である。

                                 

― 解 説 ―

  

このような家族関係で、生前Xは、購入代金を全て自ら負担し、名義をBとして土地(甲)を購入したとします(Bの名義を使用しただけで、この時点でBに贈与した訳ではありません)。Xが生前に、@Bと、甲土地に関する死因贈与契約を締結しておくか、A甲土地をBに相続させる旨の遺言を作成しておけばいいのですが、そのような手当てをしないままXが死亡しますと、問題を生じます。

2 例えば、Dが甲土地はXの遺産であると主張し、一方Bは、甲土地が自己の財産であると主張した場合、甲土地がXの遺産であるか否かを裁判で確定することになりますが(遺産確認の訴え)、この裁判は、相続人A〜D4人につき同じ結論が出ていないと、非常にまずいこととなります(DとB間のみで裁判をし、Dが勝訴すれば、甲土地は、DとB間ではXの遺産となり、裁判に関与しなかったA、CとB間ではBの財産となり、遺産の分割の仕様がありません)。

3 そのため最高裁は、遺産確認の訴えを、共同相続人全員が当事者として裁判に関与しなければならない固有必要的共同訴訟と判断したものです。共同相続人全員が当事者として裁判に関与することは、さほど難しいことではなく、Dが、Dに同調する例えばCを共同の原告として、Dに同調しないAをBと共に共同の被告として裁判を起こせばよく、これにより全員が裁判に関与し、判決も1つとなります。

 

(同趣旨判例)

最高裁昭和610313日判決(判例時報119476

遺産確認の訴えについて判断した最初の最高裁判例(同判時P.76

(関連判例) 

最高裁平成160706日判決(判例時報188366)⇒《12》

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